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教室レポート(72)        2010




八重洲教室 8月7日(土)  


 第十七巻 

   序文   総説歌   第一章 黄金の衣   第二章 魔の窟   第三章 生死不明

   第四章 羽化登仙   第五章 誘惑婆   第六章 瑞の宝座

 第十六巻に引き続き、悦子姫の一行と平助・お楢・節子姫は豊国姫の出現場である天の真名井ヶ原

を目指して進んで行く。

 序文には「神界 幽界 現界共通の面白き場面が現はれ居る」とあり、総説歌には「現幽神界混同の

夢物語面黒し」とある。

 大江山の鬼雲彦の部下であった鬼彦・鬼虎は一年前に平助・お楢の家に強盗に入り平助・お楢を縛

り上げ、お節をさらって岩窟に閉じ込めてしまう。その後改心はしたものの道中色々な目にあわされ

る。雪積む夜路に糞壺に転落し全身糞まみれ、茅屋にたどりつき井戸で着物を洗濯と思いきや、それ

はまたまた糞壺だった。身にまとった古菰ごもや古ござに火が点き、外の雪の上を転げ、水溜まりに

飛び込む。狐にだまされて裸のまま野雪隠に向かって祝詞を奏上する。やがてお節を閉じ込めた魔の

巌窟にたどり着き、お節を救い出す。道中平助・お楢は鬼彦・鬼虎をどうしても許すことができない

のだが岩・勘・櫟の三人と鬼彦・鬼虎の二人もは天女となって飛んで行きく。実はこの五人は「肉体

にては徹底的改心も出来ず、且又神業に参加する資格無ければ、神界の御慈悲に依り、国替《凍死》

せしめ、天国に救ひ神業に参加せしめ給ひたるなり。」だったのだ。

 平助・お楢・お節の道中にはまた黒姫が現れて邪魔をする。

 天の真名井ヶ原では悦子姫に豊国姫の神が降臨し鬼雲彦を使役しつつありし八岐大蛇の片割れがい

る鬼ヶ城山へ向えと命ずるのであった。

          

 次回    9月25日(土) 第十七巻

       10月9日(土)  同上
      
       11月27日(土) 同上

                                     桜井道彦記


青梅教室 8月23日(月)  


8月は第13巻、第9章~13章まで拝読。


9章火の鼠、と10章巌窟は、古事記根の国訪問の段に有る、須佐之男命から試練を与えられる大国

主の命が鏑矢を拾いに行く所を下敷きにして物語が展開される。須佐之男の命の
役を日の出別が担い、

大国主の役を6人の新人宣伝使が勤めている。内はホラホラ外はスブスブ
の語訳も、古事記では、内

部はうつろで外はすぼんでいる。とされるが、物語ではそうでもな
い。

この内部に
仕掛けを施し、半ダース宣伝使を教育して行く。巌窟の中に教えが充満している事を考え

ると、内
はホラホラの意味も大きくなってくる。『日の出別の火鼠荒野に現れて迷へる人の心を照ら

せり』の
お歌も注意深く受け取るべきと思う。日の出別を素盞嗚尊に置き換えれば大本出現の根幹に

触れ
るし、火鼠に救われる6人の宣伝使が吾々自身とすれば、内はホラホラは大本そのものと言えよ

う。

巌窟内部で繰り広げられる試練で、我を折り、頼るべきは神のみと覚り、神言、天津祝詞の奏上で

が開かれて行く。この改心の道程はこの巻に限らないが、少なくとも火鼠の存在が
拝読者の琴線に触

れたと思う。さて来月はどんな出来事が待っているか楽しみにして、今月はこれ
まで。


次回9月20日

10月は25日

                                                                          三輪 光