出口王仁三郎著 霊界物語 第一巻 霊主体従 子の巻
   第一篇 幽界の探検
    第一章 霊山修業 (一)
 高熊山は上古は高御座(くら)山と称し、のちに高座といひ、ついで高倉と書し、つひに転
訛して高熊山となったのである。丹波穴太の山奥にある高台で、上古には開化天皇を
祭りたる延喜式内小幡神社の在った所である。武烈天皇が継嗣を定めむとなしたま
うたときに、穴太の皇子はこの山中に隠れたまひ、高倉山に一生を送らせたまうた
といふ古老の伝説が遺ってをる霊山である。天皇はどうしても皇子の行方がわからぬの
で、やむをえず皇族の裔を探しだして、継体天皇に御位を譲りたまうたといふこと
である。またこの高熊山には古来一つの謎が遺ってをる。
 「朝日照る、夕日輝く、高倉の三ツ葉躑躅(つつじ)の其の下に、黄金の鶏小判千両埋け
 おいた」
 昔から時々名も知れぬ鳥が鳴いて、里人に告げたといふことである。自分は登山す
るごとに、三ツ葉躑躅の株は無いかと探してみたが、いつも見当たらなかった。大正九

注:「鶏」の字を新字体としている。