出口王仁三郎著
   霊界物語 第一巻 霊主体従 子の巻
      発 端
 自分が明治三十一年旧二月九日、神使に伴はれ丹波穴太の霊山高熊山に、一週間
の霊的修業を了へてより天眼通、天耳通、自他神通、天言通、宿命通の大要を心得し、
神明の教義をして今日あるに至らしめたるについては、千変万化の波瀾があり、縦横無
限の曲折がある。旧役員の反抗、信者の離反、その筋の誤解、宗教家の迫害、親族、
知友の総攻撃、新聞雑誌、単行本の熱罵嘲笑、実に筆紙口舌のよくするところのもので
ない。自分はただただ開教後廿四年間の経緯を、きわめて簡単に記憶より呼び起こして、
その一端を示すことにする。
 竜宮館には変性男子の神系と、変性女子の神系との二大系統が、歴然として
区別されてゐる。変性男子は神政出現の予言、警告を発し、千辛万苦、神示を伝達
し、水をもって身魂の洗礼を施し、救世主(キリスト)の再生、再臨を待ってをられた。ヨハネの
初めてキリストに対面するまでには、ほとんど七年の間、野に叫びつつあったのである。