出口王仁三郎著
   霊界物語 第一巻 霊主体従 子の巻
      序
 この「霊界物語」は、天地剖判の初めより天の岩戸開き後、神素盞嗚命が地球上
に跋扈跳梁せる八岐大蛇を寸断し、ついに叢雲宝剣をえて天祖に奉り、至誠を天地
に表し五六七(みろく)神政の成就、松の世を建設し、国祖を地上霊界の主宰神たらしめたま
ひし太古の神代の物語および霊界探検の大要を略述し、苦・集・滅・道を説き、道・
法・礼・節を開示せしものにして、決して現界の事象にたいし、寓意的に編述せしも
のにあらず。されど神界幽界の出来事は、古今東西の区別なく、現界に現れ来ること
も、あながち否み難きは事実にして、単に神幽両界の事のみと解し等閑に附せず、こ
れによりて心魂を清め言行を改め、霊主体従の本旨を実行されんことを希望す。
 読者諸士のうちには、諸神の御活動にたいし、一字か二字、神名のわが姓名に似た
る文字ありとして、ただちに自己の過去における霊的活動なりと、速解される傾向あ
りと聞く。実に誤れるの甚だしきものというべし。切に注意を乞ふ次第なり。  
     大正十年十月廿日 午後一時
               於松雲閣 瑞 月  出口王仁三郎誌